【体験版レビュー】GRANBLUE FANTASY ReLINK  正直、舐めてた!不安もあるがキャラゲーとして素晴らしい力作

 おはようございます、いちごうです。今回は、2月1日に発売予定の『GRANBLUE FANTASY ReLINK』の体験版レビューとなります。2016年の発表から度重なる延期、足かけ8年の長期に亘る開発を終え、遂に製品版の発売を迎えます。コンフィグやカメラワークにおける課題など、体験版時点では一部気になる点もありますが、率直なプレイフィールとしては、非常に堅実な一作に仕上がっているように感じます。特に、充実したキャラクターやアクションは、ファンコンテンツとしては圧倒的ですし、『グランブルーファンタジー』を知らないアクションゲームファンにも一度は触れていただきたいです。それでは、早速内容に入っていきましょう。

目次

『GRANBLUE FANTASY ReLINK』について

 発表から8年と長い開発期間を経てのリリースとなりますので、まずは作品概要を簡単にみておきましょう。原作となる『グランブルーファンタジー』は、2014年にサービスを開始したブラウザ向けのRPGです。プレイヤーは、空に浮かぶ島を旅する「騎空士」(きくうし)として、伝説の島「イスタルシア」を目指し仲間と共に冒険に出る西洋ファンタジー風の作品となっています。いわゆる、ソシャゲ全盛期に生まれたタイトルの一つで、開発・運営には、『神撃のバハムート』、『アイドルマスター シンデレラガールズ』そして本作と、「ソシャゲ三銃士」とでも呼ぶべきヒット作を生み出したCygamesが携わっています。

 サービス開始以来、長らく人気コンテンツとして運営を続けており、数多くのメディアミックスも実施されてきています。これまでも、漫画やテレビアニメ、格闘ゲームなど多くのジャンルに挑戦しており、本作は『GRANBLUE FANTASY』全盛期の2016年に『Project Re:LINK』として発表された作品です。

 そして、2016年の発表から度重なる延期、足かけ8年の長期に亘る開発を終え、遂に製品版の発売を迎えます。もちろん、8年の間には開発環境も大きく変化しており、開発初期には『BAYONETTA』シリーズで知られるアクションゲームの名手・プラチナゲームズが参加していましたが、2019年以降はCygames単独での開発に舵を切られるなど、紆余曲折を経ています。結果として、インタビューによると、当初プラチナゲームズに在籍していたディレクターがCygamesに移籍し、完成させるという、かなりの力業で完成に導いているようです。

 ゲームとしては、ストーリードリブン型の3DアクションRPGに仕上がっており、スピーディかつ多様なキャラクターによる個性的な戦闘デザインは、アクションゲームファンとして興味深く感じています。体験版時点ではコンフィグやカメラワークにおいて気になる部分もありますし、公式からも、告知されているようにメインシナリオが20時間程度と少々コンパクトになっているなど、少々不安要素もありますが、ファンコンテンツとしては、充実したゲーム体験とやり込み要素を期待出来そうな一作です。

舞台とゲームサイクルについて

 ゲームの舞台は、原作未登場のゼーガ・グランデ空域と呼ばれる地域。ゲームの世界観やキャラクターはブラウザ版をベースにしていますが、基本的にはオリジナルの物語が描かれるようです。ゲームでは、辺境の街・フォルカを拠点に、メインストーリーの進行やクエストの受注、装備の強化などを進めていくことになります。

 メインストーリーは章立てになっており、フォルカの発着場から騎空挺に乗り込み、空域に広がるフィールドを、連続で冒険していくような構成になっているようです。そのため、フィールドもオープンワールドなどではなく、ワイドリニア型の中規模のフィールドがいくつも用意されているようなイメージです。また、メインストーリー自体は、ストーリードリブンなシングルプレイ専用となっていますが、拠点で受注できるクエストは、最大4人までのオンラインマルチプレイにも対応しています。

特徴的なコンバットデザインについて

・オーソドックスなベースアクション

 続いては、アクションパートについて見ていきます。

 戦闘アクションの基本は、□ボタンの弱攻撃と△ボタンの強攻撃をベースに、R1ボタンを押しながらの〇△□×にアビリティがセットできる、というオーソドックスなタイプです。要するに、『SCARLET NEXUS』や『FINAL FANTASY XVI』など、最近のアクションRPGで採用される、通常攻撃とアビリティを交互に使用していくような操作スタイルとなっています。

 また、バトル中にL1ボタンを押し続けることでガードが可能で、耐久値はありますが、敵の攻撃を完全に防ぐことができます。R2ボタンでは回避が発動し、それぞれ、ジャスト回避とジャストガードも用意されています。他にも、名称こそ作品ごとに異なりますが、敵のスタンゲージが100%にすることで発生するリンクチャンスや奥義など、一度でもアクションRPGに触れたことがあれば、すぐに慣れる模範的なプレイフィールとなっています。

 そのため、個人的にも体験版のデフォルトキャラであるグランの操作中、戦闘システムの丁寧な作りにもかかわらず、少し物足りなさを感じる場面があったことは事実です。やはり、発表当初の2016年ならまだしも、発表から8年という開発期間の中で多くのアクションRPGがリリースされたことで、ユーザーのアクションへの感度も高まっています。このような状況を踏まえると、どこかで一度は触れたことがあるような本作の戦闘システムは、よく言えば丁寧ではありますが、やや紋切り型に感じる部分も多いと感じていました。

・アクションゲームの合成獣

 ですが、クエストモードでグラン以外のキャラクターを操作してみると、それぞれのキャラクターに深い個性と独特の性能があることに気付きます。

 例えば、ジークフリートというキャラクターは、敵に攻撃が当たるタイミングで再度□ボタンを押すことでコンボが強化されたり、槍を用いる戦士・ゼタでは、敵の攻撃に合わせて△ボタンでカウンター攻撃を発動できたりと、キャラクターごとに全く異なる固有アクションが用意されています。体験版で試せた11人のキャラクターは、それぞれ固有の操作スタイルと攻撃パターンを持っており、使用キャラによってゲーム体験も変わるため、アクションゲームファンとして新鮮な魅力を感じました。

 現時点では、操作キャラによっては、カメラワークが安定しない部分もあるなど、固有のキャラクターアクションが引き起こしている課題も見受けられます。実際、極端なキャラクターですと、ゲームが違う位のプレイ感覚の違いもあります。例えば、グランの操作感とコンボのタイミング、スキル発動のプレイフィールは『SCARLET NEXUS』などに近いですが、他にも『スターオーシャン6』や『Devil May Cry』に近いプレイフィールなど、キャラクターによっても個性が光っています。

 キャラクターごとにプレイ感覚が大きく異なるという、状況がポジティブに働くのか、ネガティブに働くのか、まだ判断はできませんが、アクションの拡張性の意味では注目に値します。

エンドコンテンツ重視のゲームデザインについて

 また、既に告知されているゲームボリュームについても紹介しておきます。開発陣のインタビューによると、本作はエンディングまで約20時間程度とメインストーリーはコンパクトな作りとなっているようです。ですが、メインの終了でゲームコンテンツが終わり、ということではなく、メインストーリーとは別のキャラクターに焦点を当てたショートエピソードや、特定のクエストをクリアすることで、追加ストーリーが用意されているなど、シナリオ全体を体験するには、約40時間と見積もられています。

 さらに、よりやり込み要素の強いエンドコンテンツとして、高ランクのクエストも多数用意されているようです。これらのエンドコンテンツを通じたキャラクターの成長・武具の強化なども含めると、100時間程度の膨大なゲーム要素で構成されているようです。

 そのため、さきほどキャラクターの固有アクションが魅力と言いましたが、まさに本作の真髄は、メインシナリオというよりも、キャラクターを深掘りしたエピソードや、キャラクターごとの個性を理解し、独自のアビリティを駆使して強敵に挑むエンドコンテンツに重きが置かれているようです。

グラフィック・パフォーマンスについて

 続いて、グラフィックやパフォーマンスについても簡単に紹介しておきます。本作のグラフィックは、ブラウザ版の作風を3Dに落とし込んでおり、フォトリアルなタッチが主流な中では印象的な画作りになっています。とはいえ、今回の体験版はPS5でプレイしていますが、パフォーマンスモードでのグラフィック表現は少々気になった点です。 本作では、グラフィック設定として、フレームレートを安定させるパフォーマンスモードと、画質を向上させる画質モードの2種類が用意されています。個人的には、アクション系のタイトルを遊ぶ際は、フレームレートを重視しているため、今回も当初はパフォーマンスモードでプレイしていました。

 しかし、パフォーマンスモードでは挙動こそ安定していますが、遠景グラフィックがやや潰れ気味となり、水彩画のような繊細なオブジェクトもべた塗りのように見えるなど、ビジュアル面で作品の良さが薄れています。特に、戦闘時の攻撃エフェクトやHUDまで解像度が下げられているのはプレイしていて気になりました。もう少し、設定項目を増やすなど、ユーザーの裁量が増えるような改善があればより良いと感じます。

コンフィグ・環境音について

 また、恐らくは製品版では変更可能かと思いますが、キーコンフィグについてもデフォルトでは少々気になりました。たとえば、奥義がL3とR3の同時押し、というかなり懐かしいコマンドだったり、NPCに話しかけるのは△、ドロップアイテム拾うのは〇、決定は×など、アクション系コマンドが煩雑だったりと、ややボタン配置がとっちらかっている印象を受けました。

 ちなみに、ものすごい細かいポイントですが、個人的にキャラクターの足音も改善していただきたい点です。最近の3Dタイトルですと、キャラクターが接する地面の質感によって、足音が変わりますが、本作では石畳でも、草むらでも、泥道でもカツカツと金属音が鳴るため、少々没入感に欠ける印象を受けました。

結語

 いかがでしょうか。

 少々気になる部分もありますが、もしまだ触れていない方がいれば、ぜひ体験していただきたいです。キャラクターゲームとしては、圧倒的な高水準に仕上がっていますし、アクションゲームファンにも色々なキャラを扱い、手触りを体験して頂きたいです。

 ちなみに、同じくCygamesのコンソール向けタイトルとして、『リトル ノア 楽園の後継者』という作品があります。発売当初も良く練られた作品でしたが、発売以降も何度もアップデートを重ね、プレイフィールの大幅な向上、エンドコンテンツの追加など、Cygamesの作品は、コンソール向けでもサービスとしてユーザーを飽きさせない工夫を続ける印象があります。そういう意味でも、本作についても課題があればアップデートを期待出来そうですし、オンラインコンテンツとしても末永いサービスを期待したいです。

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