『モンスターハンターライズ』「モンハン」嫌いがハマった5つの理由【レビュー】

 突然ですが、皆さんは『モンスターハンター』は好きでしょうか?この記事を見て頂けているということは、もちろん多くの方が好きなのだと思います。開口一番からこんなことを言ってしまうと申し訳ないですが、僕は嫌いです。というか嫌いでした。今作も全世界800万本もの出荷本数を記録しているように、文字通りの“モンスタータイトル”なわけですが、毎作発売されるたびに社会現象を引き起こす「モンハン」シリーズはハマるのが普通です。ゲーム好きであればやっぱりハマりたいものです。

 ですが、『モンスターハンターポータブル2ndG』を初めてプレイしたあの時から全くハマれていませんでした。何度も同じモンスターを倒して、早すぎる突進をすり抜けて、体力の分からない敵をマップを移動して倒し続ける。この「モンハン」の楽しさが全く理解できなかったのです。もしかして、自分はゲームが好きではないのでは?と考えたこともありました。ですが、そんな僕が『モンスターハンターライズ』にドハマリしています。正直、ハマっているという事実だけで嬉しくて泣きそうです。

 というわけで、今回は「モンハン」嫌いの僕がどうしてハマれたのか、『モンスターハンターライズ』の魅力を5つに分けてご紹介してきます。PSPや3DSで同じような思いをしていたという人は是非とも最後まで御覧ください。気づけばあなたも「モンハン」に興味が出てくるかも知れません。

『モンスターハンターライズ』のポイント

初心者でもゲームを「楽しめる」計算されたゲームデザイン

「翔虫」・「鉄蟲糸技」などスピード感が重視された新要素

シンプルさが徹底された超快適なゲーム進行

歴代Switchタイトルでも上位に入る美しいグラフィック

目次

■「誰でも」狩る喜びを味わえる難易度設定

 まず、結論から言ってしまえば『モンスターハンターライズ』は今までのシリーズに比べても難易度が低いです。「モンハン」といえば高難易度で自分のプレイスキルを磨き上げ、数々のモンスターを討伐していくゲームです。

 ですが、今作に関しては難易度の低下と、非常に快適に設計されているゲームデザインによって、初心者でも“ある程度”まで進めていくことが出来ます。「モンハン」嫌いにとって、この“ある程度”まで進めていけるということが非常に重要です。

前作「ワールド」でも概ね見直されましたが、一昔前の作品ですと、初めてゲームを起動すると、草をとってこいとか小さいモンスターを五匹狩ってこいとか、なんとも面倒なチュートリアルが用意されていました。それを終えてやっと狩りに行くぜ!となって村クエを進めているとチュートリアルとか進行度合いを大幅に超えた強敵が出てきてボコボコにされて心が折れます。

倒せるモンスターの装備では弱すぎるし、こういう格好がしたいというモンスターには出会うことすらできない。なんというか、ゲームに「この根性なし!」と言われているような悲しみ。これが僕が「モンハン」嫌い、というかほぼトラウマみたいになった根本的な理由です。

 ですが、『モンスターハンターライズ』では最初に述べたように、特に序盤の難易度は非常に低く設定されていますし、チュートリアルもある程度コンパクトになっています。

完全新作についてはSwitchでは初めてとなりますし、ライト層を意識してのことかと思いますが、ゲーム開始からすぐに大型のモンスター討伐に挑める上に、結構簡単に勝ててしまいます。これではまるで難易度が低いから面白い、のような話になってしまいそうですが、そういうわけでもないです。

むしろ、“ある程度”難易度の低いところからゲームが始まるおかげで、今までたどり着きようのなかった『素材収集の繰り返し』や『武器の強化』といった「モンハン」の肝にしっかりと触れることができる!

モンスターを討伐して、作りたい装備を一式作る達成感は凄まじく、これまでストレスを感じていた「モンハン」のゲームデザインに少し手を加えられたことで、圧倒的な達成感を感じられるようになっています。『モンスターハンター』を苦手な理由として、難易度を挙げる方は、ぜひ「ライズ」を遊び、手軽さと手強さを両立させるゲームデザインを体験して欲しいです。

■ゲームをより快適にする「翔虫」と「ガルクくん」

 続いては快適なゲームプレイを生み出してくれた「翔虫」と「オトモガルク」について紹介していきます。まず、「翔虫」とは平たく言ってしまえば、『進撃の巨人』の立体機動装置のようなワイヤーアクションです。ビュンビュンとスピード感溢れる感じで、なんだか複雑そうと思うかもしれませんが、実際に触ってみると簡単に操作をすることが出来ます。

これまでのシリーズでは、一部でしか取り入れられてこなかった縦移動の導入によって重厚感のあるアクションからスピード感のあるアクションへと変化を遂げています。 

 「翔虫」はスムーズな移動や攻撃パターンの増加に加えて、「モンハン」に必須なスキルともいえる「回避」をある程度担ってくれます。初めて「2nd G」を遊んだとき、回避がまともに出来なくてババコンガに顔の形が変わるんじゃないかってくらい殴られていました。前が見えねェ状態です。今のキッズたちは情操教育で「Fortnite」とかハードなアクションをやっていると思いますが、僕は「マリオ64」とか「ヨッシーストーリー」の温室育ちな訳です。ハード目なアクションを遊ぶ前に「モンハン」に触れてしまっているので、超大振りな攻撃を「回避」するのとか教わってきていなくて、驚いてしまう訳です。

 そんな「回避」が苦手な「モンハン」苦手人間にとって、「翔虫」本当に頼もしい存在です。モンスターとの距離を取る際にも活躍しますし、攻撃を受けた際に受け身を取ることが出来ます。受け身を取ることで、モンスターの猛攻から一旦離れる事でき、こちらにも余裕が生まれ、攻撃と回復のタイミングを作れます。

実際、今までの「モンハン」だと猛攻からスキを作っていくというプレイングがなんとも敷居が高く、一瞬の隙でコンボを入れられて終わりみたいなことが少なくありませんでした。そうなってくると、ずっとイベント戦みたいなテンションで自ずと心が折れていきます。

「翔虫」のボタン入力で生み出される受け身はこれらの従来の「モンハン」のストレスから開放してくれ、誰もが攻撃と「回避」のいわゆるヒットアンドアウェイを行うことが出来ます。「モンハン」って全然技当たらなくない?と思っている方にとって、今作はまず、その概念を覆してくれると思います。

 次に移動革命とでも呼ぶべき「オトモガルク」の存在です。ガルクくんはその見た目通り、乗っての高速移動が可能なできる犬くんです。今作では「モンスターハンターワールド」などと同様に移動にロードを挟まないシームレスなマップとなっており、非常に広いフィールドの移動が必要となります。

その移動を快適にしてくれるのがガルクくんです。スムーズな移動とともに乗りながらにして、回復や武器を研いだりといった動作も同時に行えるため、なんで今までなかったのかなと思えるほど、ゲームプレイを向上させてくれます。総武線快速のグリーン席かと思いました。

「翔虫」と「オトモガルク」はこれまで「モンハン」が苦手だったプレイヤーのかゆいところをうまくカバーしてくれています。「モンハン」嫌いの僕にとっても大好きな虫くんと犬くんです。

■とにかく派手で格好いい鉄蟲糸技

 続いてアクションについてもう少し紹介していきます。今作では「翔虫」を使った「鉄蟲糸技」という技が新たに追加されています。「鉄蟲糸技」って文字面だけでもなんかかっけーって感じですけど、実際すげー格好いいです。

僕は初心者から上級者まで安心な太刀を使っていますが、モンスターめがけて突っ込む桜花鉄蟲気刃斬とかそのモーションがすでに格好良いです。先程も紹介しましたが、「翔虫」によって、モンスターへの攻撃がある程度できるようになったことと、見た目が格好いい鉄蟲糸技をバシバシ決めていけるようになることで、なんか俺強くない?と思えるわけです。これが本当にモチベーションになります。

 また、フレンドとの協力プレイで、弱ってきた敵に向かって「翔蟲」を飛ばして空中から強力な打撃を食らわせたりするのは、なんというかヒーロー感があるというか、自分のことをジャンプ作品の主人公かと錯覚します。

3DSで発売された「モンスターハンター4」でも高台からのジャンプ攻撃は可能でしたが、今作では本来「モンハン4」が目指していたであろう、立体的なバトルがよりスピーディに実現されていると行っても良いと思います。

 個人的にはスーパーヒーローみたいなプレイをしている方が爽快感があるし、自身が高揚しているのがなんか分かるので、DMCみたいなカプコンっぽいスタイリッシュなかっこよさを体験できるのは『モンスターハンターライズ』の魅力だなと思います。

■煩雑な当たり前を排除したシンプルなデザイン

 「オトモガルク」は今までの移動に新しいシステムを導入しましたが、その他にも今作ではあらゆる要素が見直されています。わかりやすいものだと、討伐対象のモンスターが最初からマッピングされています。PSPや3DS時代のタイトルだと番号で区切られたフィールドの中からモンスターを探すのは初心者にとって結構辛いものがありました

その点、今作はマップをみてすぐに把握ができるので、よっしゃこいつぶっ倒しに行くぞと一直線にガルクくんで突っ込んでいくプレイはとても気持ちが良かったです。その他にもフィールドの環境に合わせて使用していたホットドリンクやクーラードリンクといったアイテムも廃止され、アイテムの持ち込み忘れや持続時間の管理も必要もなくなりました。

これに関しては独特の緊張感みたいなものが薄れてしまっているという意見もありますが、個人的に遊びやすさとしてありがたい変更点でした。また、個人的に一番シンプルにしてくれて嬉しいなと思ったのは、「キークエスト」が一発で分かる仕様になったことです。

今作ではハンターランクを上げるために必要なクエストは「セレクトクエスト」と呼ばれ、あといくつクリアしたら、次のランクになるよと教えてくれるので、よくわからずクエストを受けくってしまうなんていうこともなくなりました。あれが地味に辛いというか、もうわーかんねと積んでしまう要因だったので、進めていく順番がシンプルにわかりやすいのはプレイ感として快適でした。

■快適さが生み出すリプレイ性

 そんな様々な快適さによって生み出されるのがリプレイ性の高さです。このポイントが個人的に『モンスターハンターライズ』が「モンハン」嫌いから救ってくれた理由のように思います。

先にも述べましたが、モンスターハンターにおいてやっぱり楽しいのは、『素材集め』や『武器の強化』といった部分です。しかしながら、序盤からモンスターが強かったり、進め方がよくわからないと、そもそもそこまで進めなかったり、楽しさを理解する前にやめてしまいます。

 ですが今作では、難易度の低下やスムーズなゲームプレイによって、プレイヤーにも余裕が生まれていきます。ゲームプレイにおける余裕というのは本当に大事です。

ふと他のことに目をやったりできるというだけでプレイは大きく変わってきます。『モンスターハンターライズ』は『素材集め』や『武器の強化』という「モンハン」における当たり前の行動を少し優しいかも知れませんがしっかりと体験できるように設計されています。これやってみたかってん! が10数年後しにできる。こんな嬉しいことなんですね。何度も言いますけどやっぱ泣けますよ。

■結語

 今回は「モンハン」嫌いがハマった5つの理由をご紹介してみました。正直、発売前は大して期待していませんでした。体験版ではモンスターを倒すことはできましたけど、製品版はどうせ装備も武器も弱いから自分にはできないんだろなーと、遊ぶ前からちょっと捻くれていました。

ですが、実際に『モンスターハンターライズ』をプレイしてみると、俺でもめっちゃハマってるじゃんと本当に嬉しかったです。友達に「あの素材ほしいから集会所やろ」ってまさか、自分から誘う日がくるなんて。

是非とも「どうせモンハンできないしなー」と悩んでいる方は一度手にとってほしいです。売れているのが正義なんてことは思いませんけど、やっぱり流行りに乗れないのって結構辛いんですよね。

10数年後しに乗れてんじゃんってなるのは嬉しいですよ。「モンハン」が苦手な人にこそプレイしてほしいとても懐の深い「モンハン」でした。

 「モンハン」は数百万本を平気で販売するタイトルです。ですので、言い訳みたいに聞こえるかもですが、遊べる人は基本的にはゲーム市場的にはマジョリティとなります。

個人的に思うのは、だからこそ「モンハン」を遊べない人の気持ちを理解していただければということです。「ライズ」も自分には合わなかった、という人も結構いると思います。

けれど、個人的には10年以上前に「モンハン」が苦手だったからこそ、他のゲームに大量に触れられたし、素材集めはできなかったけど中古屋巡りはできました。

「モンハン」に限った話ではないですけれど、世の中にはほんとうに大量にゲームがあります。ムーブメントに乗るだけでなくて、自分にぴったりな名作を見つけられれば良いですし、それが「モンハンライズ」だったらみんなと遊べて二度嬉しい。それだけだと思います。

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