
『バイオハザード レクイエム』レビュー|恐怖とアクション、シリーズ30年の集大成
『バイオハザード レクイエム』は、シリーズ約30年の歴史が培ってきた「恐怖」と「アクション」という二つの軸を、ひとつの作品として統合した完成度の高いサバイバルホラーです。FBI分析官グレースと歴戦のエージェント・レオンという対照的な二人を操作することで、緊張と解放が交互に織りなすゲームループが体験できます。謎解きや環境ストーリーテリングにはやや保守的な面もありますが、シリーズの魅力を現代の技術と設計で改めて提示した、いまのバイオハザードを知るための最良の一本です。
レビュー概要
- ジャンル
- サバイバルホラー
- 開発
- カプコン
- 発売元
- カプコン
- 対応機種
- PS5 / Switch2 / XBOX / PC
- プレイ時間
- 約10時間
- プレイ状況
- クリア済み
良かった点
気になる点
『バイオハザード レクイエム』について
集大成的なゲームデザイン
まずは、改めて作品概要やゲームデザインの注目ポイントから整理していきましょう。本作は1996年から続く『バイオハザード』シリーズのナンバリング最新作であり、前作『ヴィレッジ』から約5年ぶりとなる完全新作です。
シリーズファンであればご存知の通り、近年のシリーズはやや特殊な発展を遂げてきました。というのも、単に作品をリリースするのではなく『バイオハザード7 レジデント イービル』や『ヴィレッジ』に代表される「没入感」を重視した一人称視点の作品と、『RE:2』『RE:4』などに見られる「サバイバルホラー」のデザインを強化した三人称視点の作品という、二つの方向性を並行して発展させてきたためです。
本作は、そうしたシリーズの流れをひとつの作品として統合した、いわば総決算とも言えるタイトルです。「恐怖」と「アクション」を同時に成立させるというテーマに改めて向き合い、その両立を高い水準で実現した、シリーズの集大成とも呼べる意欲作に仕上がっています。

舞台となるのは、シリーズの原点とも言える「ラクーン事件」に関わる地域です。ゲームでは、FBI分析官グレース・アッシュクロフトと、シリーズを象徴するエージェントであるレオン・S・ケネディという二人のプレイアブルキャラクターの視点を交差させながら物語が展開されます。それぞれのキャラクターは、ゲームデザインの面でも特徴があり、グレース編では、限られた装備の中で「生き抜く」ことが主題となり、原点回帰的なホラー体験が描かれます。一方のレオン編では、銃撃や近接格闘を駆使して脅威を打ち倒すダイナミックなアクションが展開され、シリーズ屈指の爽快感が提供されます。
また、本作の特徴として挙げられるのが、プレイ中いつでも一人称視点と三人称視点を切り替えられるシステムです。一人称では、暗闇の奥や背後から迫る気配がダイレクトにプレイヤーへ伝わり、没入感と恐怖が際立ちます。一方で三人称視点では空間把握が容易になり、銃撃や回避といったアクションの手触りをより明確に感じ取ることができます。
さらにどちらの視点でも際立つのがグラフィック面の美しさです。フォトリアルなキャラクター描写、高密度に構築された建物、暗所における陰影表現など、あらゆるビジュアル要素がサバイバルホラーの緊張感を強く支えています。霧が漂う空気感や、廃墟と自然が溶け合った景観の質感は圧倒的で、思わず立ち止まって眺めたくなるほどの完成度です。
「ラクーン事件」へ導かれるグレースとレオン
また、シリーズファンにとって気になるのが本作のシナリオだと思います。
『レクイエム』の物語は、アメリカ各地で発生する不可解な連続変死事件から幕を開けます。被害者たちの死因は一見するとばらばらですが、いずれも生物災害を思わせる異様な痕跡を残していました。
FBI分析官であるグレース・アッシュクロフトは、その共通点を追うため現地調査に乗り出し、やがて捜査線上に浮かび上がった廃ホテルへと足を踏み入れます。しかしそこは単なる事件現場ではなく、過去の惨劇と人知を超えた存在が潜む極めて危険な場所でした。限られた装備しか持たないグレースは、圧倒的な恐怖の中で逃げ場を失いながらも、分析官としての知見と観察力を頼りに、徐々に事件の核心へと近づいていきます。
一方その頃、対バイオテロ組織に所属するレオン・S・ケネディにも、同じホテルに関する別の報告が届きます。警官の失踪事件を受けて現場へ急行したレオンは、これまで数々の生物兵器事件を経験してきたエージェントとしての直感を武器に、銃と戦闘技術を携えてその奥へと踏み込んでいきます。
やがてグレースとレオンの行動はひとつの事件へと収束し、その背後に「ラクーン事件」の存在が浮かび上がってきます。過去に葬られたはずの研究、そしてそこに関わった人々の思惑が、現代へと歪な形で引き継がれていたことが明らかになっていくのです。分析官としての知見と観察力を武器にするグレースと、戦闘経験と判断力を備えたエージェントであるレオン。対照的な二人の視点が交差することで、物語は「ラクーン事件」というシリーズの原点、そしてシリーズの歴史そのものを再解釈する展開へと迫っていきます。
静と動のゲームループ:「静」のグレース
「恐怖軸」のゲームプレイ
ここからは、各キャラクターのゲームプレイを見ていきます。
まずは、ゲーム序盤において中心となるグレースパートですが、彼女のゲームパートは、明確に『レクイエム』における「ホラーの核」として設計されています。歴戦のエージェントであるレオンとは対照的に、FBI分析官である彼女は戦闘経験がほとんどなく、ゾンビと遭遇するのも今回が初めてです。その立場そのものが、ゲームプレイの緊張感を大きく増長しています。

実際、ゲーム開始直後からプレイヤーは、圧倒的な無力感と向き合うことになります。グレースパートでは、弾薬や回復アイテムといったリソースは常に不足気味で、インベントリの所持数も限られています。走る、リロードといった基本動作もどこか心許なく、アクションで状況を打開するよりも、「いかにして逃げるか」「どうやってやり過ごすか」を考えることがゲームプレイの軸になります。
そんなグレースパートを象徴する仕組みの一つとして「一部のゾンビに生前の記憶が残っている」という仕様があります。特に、序盤のローデスヒル療養所は、この仕様が顕著に機能するエリアです。ゾンビたちはただ存在するのではなく、生前に料理長だったゾンビは厨房を徘徊していたり、周囲の照明を消して回るゾンビがいたりと、それぞれに固有の行動パターンを持っています。プレイヤーは、彼らの行動を観察し、死角や隙を見極めて移動することで、戦闘を回避しながら進むことが可能になります。
この設計は、戦闘能力の低いグレースにおける「恐怖」の演出であると同時に、彼女が分析官であるという設定を上手くゲームプレイに落とし込んでいます。一般的にホラーゲームにおける雑魚敵は、無差別にプレイヤーへ向かってくる存在として描かれがちですが、一部のゾンビに固有性が与えられることで、一種のストーリーテリングとしても機能しています。
リソース管理の進化系として
また、グレースパートのゲーム性を支えているのが、「採血キット」を軸としたリソース管理システムです。『バイオハザード』シリーズでは初期作品から、弾薬や回復アイテムを拾い集め、それらをどう使うかを判断する「リソース管理」が、ゲームプレイの醍醐味として機能してきました。調合による回復アイテムの生成や、『バイオハザード4』におけるマス目型インベントリなど、シリーズは常にそのあり方を発展させ続けてきたと言えます。

本作における「採血キット」は、その系譜に連なる新たな仕組みです。感染者の血液やフィールドに残された血痕を採取し、それを素材として弾薬や回復薬を生成できるというシステムで、従来のリソースに加えて「血液」という新たな資源が導入されています。これにより、状況に応じた選択の幅が広がり、戦略性にさらなる厚みが加えられています。
中でも印象的なのが、採取した血液からクラフトできる「破血アンプル」です。使い切りのアイテムではありますが、ゾンビを一撃で無力化できるこの手段は、背後からの奇襲やステルスキルと組み合わせることで、安全なルートを切り開く切り札として機能します。限られたリソースの中で最適解を探るというシリーズの緊張感を、現代的なシステムの中で再構築した好例と言えます。
やや古典的な謎解き・環境ストーリーテリング

ここまで見てきたように、グレースパートはオーソドックスなホラー体験ではありつつ、一定の新規性を備えたパートとして構成されています。しかしその一方で、謎解きや探索、そしてそれらを束ねる環境ストーリーテリングの側面においては、進化がやや漸次的な段階に留まっている印象も否めません。
一見すると、戦闘を避けながら探索と謎解きを進めていくゲームプレイは、シリーズ初期作品に近い「探索型ホラー」の手触りを色濃く残しているように思います。実際、観察と判断で道を切り拓いていく構造は、サバイバルホラーの原点とも言える魅力であり、本作でも確かな手応えがあります。
ただし、気になるのはそのデザインが大きく刷新されていない点です。環境パズルや鍵の仕掛け、マップを隅々まで探索してギミックを解くという流れは、シリーズの伝統である一方で、現代のゲームデザインと比較するとやや古典的に映ります。謎やパズルにしても、基本的には「アイテムを拾い集め、適切な場所に使う」という形式に終始しており、体験としての変化や驚きにやや乏しい印象を受けました。
また、環境ストーリーテリングに関しても、その表現は全体としてオーソドックスな範囲に収まっています。グレースは冒頭から葛藤を抱えたキャラクターとして示唆されていますが、その掘り下げは序盤の断片的なムービーシーンに依存しており、空間や環境オブジェクトを通じた設計は多くありません。加えて、彼女の肩書きである「分析官」としての能力がゲームプレイに直接結びつく場面も限定的で、その個性が体験として強く表現されているとは言い難い部分があります。
近年では、『Alan Wake 2』や『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』のように、ストーリーテリングとゲームプレイが密接に連動し、プレイヤーの行動が物語理解へと繋がる作品も登場しています。それらと比較すると、本作のアプローチはやや保守的で、語りと体験の接続という点では一歩引いた設計と言えます。
総じて、グレースパートの謎解きや探索は、シリーズの伝統的な魅力を現代的な水準で再構成した設計である一方、より先鋭的なゲームデザインや表現を期待していたプレイヤーにとっては、やや物足りなさを感じる部分もあります。2019年の『バイオハザード RE:2』の延長線上にある完成度の高さは確かですが、その先の大きな飛躍という観点では、やや控えめな進化に留まっている印象です。
静と動のゲームループ:「動」のレオン
「アクション軸」のゲームプレイ
続いて、レオンパートについてみていきます。
映像を見てもわかるように、レオンパートでは、シリーズが長年培ってきたアクション性を前面に押し出した、ダイナミックなゲームプレイが特徴です。新米警官としてラクーン事件に関わって以来、数々のバイオテロ事件を乗り越えてきた彼は、本作でも対バイオテロ組織のエージェントとして現場に投入されます。その豊富な経験はゲームプレイにも反映されており、銃撃と近接格闘を組み合わせた戦闘は、シリーズでも随一に洗練された操作感に仕上がっています。

ゲーム構造的に見ると、序盤ではグレースを中心に据えつつ、合間にレオンパートが挟まる形で展開されます。リソース不足とステルスを軸にしたグレースパートが「緊張」を担うのに対し、レオンパートは敵を打ち倒していくことで「緩和」を生み出す役割を担っています。この静と動のコントラストが非常に明確で、グレースで蓄積した閉塞感や重荷を、レオンで一気に解放するというリズムが心地よく機能しています。特に、グレースで苦労したシークエンスをレオンが豪快に突破していく構造は、プレイヤーにとって強い解放感をもたらします。
基本的な操作は『バイオハザード RE:4』をベースにしつつ、ハンドガン、ショットガン、ライフル、サブマシンガンといった多彩な武器を使い分けることができます。さらに本作では新たに「トマホーク」が導入されており、戦闘の幅を広げています。トマホークはパリィによる防御、近接攻撃、ステルスキル、さらには噛みつかれた際の反撃まで対応する万能武器であり、銃撃主体の戦闘にアクセントを加えています。
総じて本作は、グレースの「恐怖軸」とレオンの「アクション軸」という対照的なプレイフィールを並行して配置することで、「恐怖」と「アクション」という『バイオハザード』の両極を高い水準で成立させています。結果として、この往復はゲーム体験に明確なリズムを生んでおり、プレイヤーは緊張と解放を繰り返しながら物語を進んでいくことになります。
「未来」を感じさせるラクーン市街地の謎解き・探索について
とはいえ、ここまでの内容ですと『レクイエム』の面白さは、過去作を集約させた程度にとどまっているのではないか?と感じるプレイヤーもいるかもしれません。実際、個人的にもゲーム中盤までは「『RE:2』と『RE:4』のエッセンスを丁寧に組み合わせた作品」という印象が強く、もう一歩の驚きが欲しいと感じていました。
しかし、その印象を大きく覆すのが、中盤以降に訪れるラクーン市街地パートです。ここでは、レオンを操作する比較的長尺のシークエンスとなっており、そこまでの「緊張と緩和」を軸にした体験を、より発展させたサバイバルホラーが提示されています。率直に言って、このラクーン市街地パートは、本作の中でも屈指の完成度と面白さを誇るパートであり、作品全体の評価を大きく引き上げている要素になっています。

ラクーン市街地の特徴は、小規模ながらワイドリニアに近い構造を採用している点にあります。フィールド全体が広いわけではありませんが、市街地の一角が一つのまとまった探索エリアとして設計されており、複数の建物や通路が立体的に連結された空間が広がっています。従来の『バイオハザード』シリーズでも、入り組んだエリアはありましたが、基本的には一本道的な進行を軸にしてきました。直近のタイトルとして『RE:4』でも、一部大きめのフィールドも用意されていますが、ルートそのものはアリの巣状に広がるリニアな設計が印象的でした。
それに対しラクーン市街地では、建物や路地裏、屋上や地下といった複数のレイヤーが緩やかに接続されており、プレイヤーは目的地へ向かう順番やアプローチを自ら選択できるようになっています。
この構造の変化により、探索や謎解きの幅が明確に広がっています。単なる鍵と扉の関係にとどまらず、回り道の発見やショートカットの開通、環境ギミックを活用したルート構築など、より立体的なパズル体験が生まれています。
さらに、このエリアではサバイバル要素のスケールも一段階引き上げられています。ラクーン市街地に到達して以降は、従来の弾薬や回復アイテムの管理に加え、「サプライボックス」という新たな仕組みが導入されます。これは『RE:4』や『ヴィレッジ』における武器商人に近いシステムで、敵撃破で得られるポイントで、弾薬や新武器の購入、既存武器の強化が可能になります。これにより、戦闘の自由度が広がり、探索と戦闘のサイクルがより能動的なものへと変化しています。
フィールド構造や謎解き、武器の成長要素といった各要素を総合的に見ると、ラクーン市街地以降のパートは、シリーズがこれまで培ってきたサバイバルホラーの基盤を踏まえつつ、それを空間構造とプレイヤーの自由度という観点から拡張した試みだと言えます。従来の延長線上にありながらも、確かな手応えのある変化を感じさせるゲームデザインであり、本作における「新しさ」を象徴する重要なパートとなっています。
現時点では、この構造はゲーム全体に広く適用されているわけではなく、あくまで一部のエリアに限られた要素にとどまっています。しかし、その完成度と手応えを踏まえると、今後のシリーズにおいてさらに発展していく可能性は十分に感じられます。本作が提示したこの方向性は、『バイオハザード』シリーズのこれからを占う上でも非常に興味深い試みだと言えます。
ゲーム難易度やエンドコンテンツについて
難易度とクリア時間について
最後に、難易度とゲームボリュームについて見ていきます。
まず、難易度設定ですが、本作には「Casual」「Standard(modern)」「Standard(classic)」の3段階が用意されています。今回のレビューはノーマル難易度にあたるStandard(modern)でプレイしましたが、全体としてシビアさとプレイヤーの成長を実感できるバランスの良い難易度に仕上がっていたと感じます。
特に、グレースパートの序盤では、リソース不足に悩まされる場面が多く、回復アイテムが尽きかける状況に何度も直面しました。実際、数回はリスタートを余儀なくされる場面もあり、サバイバルホラーとしての緊張感はしっかりと担保されています。

Standard(classic)では、シリーズおなじみの「インクリボン」を消費してセーブを行う仕様が採用されており、よりクラシックなプレイフィールが楽しめます。シリーズ初期作に近い緊張感を味わいたい方には、この難易度がおすすめです。さらにクリア後には、敵の攻撃力と体力が大幅に強化される高難易度「Insanity」も解放されます。
続いてゲームボリュームですが、Standard(modern)設定でのクリアまでのプレイ時間は、おおよそ10時間前後でした。金庫などの探索要素はほぼ回収し、武器の強化もある程度進めた状態でこのプレイ時間となります。近年のオープンワールドや大型RPGと比較するとややコンパクトに感じるかもしれませんが、シリーズ過去作の傾向を踏まえれば、本作は標準的なボリュームに収まっていると言えるでしょう。
ただし一点注意しておきたいのは、発売日時点ではシリーズ恒例のエンドコンテンツである「マーセナリーズ」が収録されていない点です。これまでのシリーズの動向を踏まえれば、今後のアップデートやDLCで追加される可能性は高いと考えられますが、現時点では一周目のクリア体験を中心とした構成になっている点は把握しておくとよいでしょう。
コンテンツのリプレイ性について

また、個人的に気になったのは、二周目以降のリプレイ性についてです。
先ほど本作は一周目のクリア体験を主軸に設計された作品だと述べましたが、やはり『バイオハザード』シリーズにおいては、周回プレイやタイムアタックが大きな魅力のひとつとして機能してきました。ルートやタスクを最適化し、無駄を削ぎ落としていくプレイスタイルは、本作のような探索と謎解きの構造とも相性が良く、クリア後に再挑戦したくなる設計になっています。
しかし本作の場合、グレースパートのゲームデザインがそのまま二周目に適しているかという点については、やや疑問も残ります。弾薬や回復アイテムといったリソースは常に不足気味で、インベントリの制限も厳しく、アクションで突破するのではなく「どう逃げるか」を中心に据えた設計は、初回プレイでは強い没入感を生む一方で、周回時にはテンポ面でストレスを感じる可能性があります。グレースパート自体の完成度は高いものの、リプレイ性という観点ではやや相性の難しさがある構造です。
一方で二周目には、クリアポイント(CP)を消費して無限武器などの特典を解放できるほか、レオンパートでは序盤からサプライボックスが利用可能になるなど、周回プレイに向けた一定の恩恵も用意されています。ただし、それらの解放に必要なコストや条件はやや高めに設定されており、スムーズな周回プレイを楽しむには少しハードルがある印象です。総じて本作は、一周目の体験としては非常に完成度が高い一方で、シリーズファンが期待する「周回の気持ちよさ」という点では、やや控えめな設計にとどまっています。今後のアップデートや追加コンテンツによって、このリプレイ性の部分がどのように拡張されていくのかにも期待したいところです。
総評
総じて『バイオハザード レクイエム』は、シリーズ約30年の歴史の中で積み重ねられてきた「恐怖」と「アクション」の系譜を、ひとつの作品として統合した完成度の高いタイトルです。グレースによる原点回帰的なサバイバルホラーと、レオンによるダイナミックな戦闘体験。この両極のゲームプレイが交互に展開される構造は、シリーズそのものの歩みを体験として設計したと言っても良いかもしれません。
一方で、謎解きや環境ストーリーテリングの面ではやや保守的な側面もあり、近年のゲームデザインと比較すると物足りなさを感じる場面もありました。また、現時点ではニューゲーム+やマーセナリーズといったエンドコンテンツが未実装である点も含め、今後のアップデートに期待したい部分も残されています。
それでもなお、本作が提示する体験は非常に強度の高いものです。シリーズファンはもちろん、近年のリメイク作品から入ったプレイヤーにとっても、本作はいまのバイオハザードを知るための最良の一本です。恐怖とアクション、その両方を味わえるサバイバルホラーとして、ぜひプレイしてみてください。
9.0
/ 10